病室は6階。ある日見舞いを終えて帰るとき、小柄な中年男性とエレベータに乗り合わせました。
その人がなんだかニコニコと話しかけてきたのです。
「2週間前の夜中、救急車で運ばれて手術をしましてね、やっと今日退院するんですよ」
九死に一生を得た嬉しさを誰かに伝えたかったんでしょうね。
「それはおめでとうございます」と応じたものの、一抹のわびしさも感じました。
退院という晴れの日なのに、たったひとりで病院をあとにするなんて・・・。荷物といえば小さな紙袋ひとつ。2週間をそれだけで過ごしたのでしょうか。
ほどなくうちのも退院し、家族総出で迎えに行きました。入院中、あの服この服持ってこい、新しいパジャマを買ってこい、退屈だから本を読みたい云々で荷物が膨れ上がり、引っ越しみたいな大騒ぎでした。
個人的にはあの男性のようなミニマリズムに憧れます。
とりわけ入院なんて事態は、可能な限りひとりでこっそりと済ませたいものです。
病気でやつれてるのに、化粧も髪のセットもろくにできないでしょ。見舞い客と顔を合わせたくない人だって多いはず。
でも病院側はひとりきりの患者を嫌がるみたいです。保証人だの引受人だのを書類に記入させられます。
これからは孤独な高齢者が増えていくので、しっかり対応できるようなシステムを社会が作る必要がありましょう。
というわけで、必読本はこれ。
おひとりさまの老後